Interview

Y. K.

研究開発(化学系 エナジー材料)

2016年入社 工学府機能発現工学専攻 卒

現在の仕事を詳しく教えてください。

リチウムイオン二次電池用の機能層用バインダーの開発を担当しています。バインダーは電池の構成部材の中で直接は電池反応には関与しません。使用量も多いものではありませんが、電池の中で様々な部材を結着することで電池製造時のプロセス性や電池の性能に寄与します。中でも機能層用バインダーは電極用途とは異なり、電池の安全性を支える材料となります。リチウムイオン電池は携帯電話をはじめとする小型のものから、電気自動車で使用されるような大型のものの需要が近年高まっており、電池の安全性が一層強く求められています。市場も大きく拡大しており、自身が開発する材料が世界中のどこかで実際に使用されるということを考えると大きなやりがいを感じます。一方で、お客様ごとに電池の設計が異なるため、それぞれの電池に適したバインダーの設計も多種多様になり、そこは難しい点です。そのため、日々の研究開発ではバインダーが使用されるときに一緒に混合される粒子の形状やその表面構造などを考えながら、最適なものを開発していくことを心がけています。

あなたが一番、“挑戦”した仕事を教えてください。

日々の仕事が挑戦だと思っています。お客様での課題解決に向けたご提案を通じて、技術者としては成長につながっていると感じています。私の部署では販売員だけでなく研究・開発者も直接お客様のところに訪問し、現在の課題を解決できるものをご提案しております。電池の設計は使用される用途によって求められる特性が異なるため、今ご使用いただいている製品が必ずしも今後もベストのソリューションとはなりえません。訪問前にも社内でディスカッションは行いますが、いざご提案の最前線に立つと想定とは異なる課題が新たにわかることもしばしばあります。その時に課題の本質を的確に把握し、課題解決につながるご提案を行うことが訪問している技術者には求められていると考えています。材料の視点だけですと、お客様での工程に適合しないことや混合する他材料の作用により狙った特性が発現されません。そのため、日頃より化学的な視点だけでなく、プロセスに対しても勉強しておく必要があります。そうした日々の活動を通じて、自身の知識の幅を少しずつ広げ、お客様にもご納得いただける提案につながってきていると思います。

仕事の中で、“つながり”を感じたエピソードは?

上市間近だった開発品で、ある課題が発生した時には、すぐに多くの先輩社員から意見をもらい仮説検証を進められました。ゼオンでは社内でのディスカッションが自由にできる雰囲気があるため、日々の研究開発で生じる課題等は近くにあるホワイトボードなどを使って議論します。社内には様々なバックグラウンドをもった先輩社員がおり、様々な角度から社内で解決のアイディアをもらうことができ、素早い解決につながっていると感じています。電池材料の研究開発をしていますが電池そのものに詳しい方だけでなく、電気化学や高分子化学、界面化学などのミクロの分野から、電極材料の塗工工程や電池製造いったマクロなプロセスの分野まで多くの知見があることは大きな強みです。

自分を“磨くため”にしていることは
ありますか?

学生の時から参加している高分子化学に関する研究会には、今でも定期的に出席しています。幅広い分野の研究について情報を得ることで、社内だけでなく社外の技術に対しても興味を持ち続け、今取り組んでいるテーマに活かせるヒントを得ることもできます。さらに、同世代のアカデミックで活躍されている研究者と触れ合うことで大きな刺激を受けることができ自分のモチベーション向上にもつながっていると感じています。

オフの過ごし方を教えてください。

社内にも国籍が日本以外の方も増えてきていることもあり、通勤時間は英語学習に活用しています。その他、働き方が大きく変わる中で在宅勤務のため通勤しない日には運動不足を感じることもあるため、休日は外に出かけて買い物がてら歩くようにしています。

後輩になる学生へのメッセージと
就職活動のアドバイスをお願いします。

学生時代と会社での研究開発との違いは様々な分野の知識が必要ということと思います。ゼオンで扱う製品はそのままの形で消費者に届くものは少なく、直接のお客様にわたってからも最終製品に向けて様々な特性が要求されます。その中で新製品を生み出していくためには目の前の開発だけでなく、最終製品を意識した設計が必要です。素材メーカーの面白さはそのような幅広い分野に関われることだと私は思います。勉強することは社会人になってもたくさんありますが、その分いろいろな技術に触れ自身の幅を大きく広げることができると思います。自分の可能性を信じていろいろチャレンジしてみたいという方をお待ちしています。

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