ゼオンまるわかり

C5留分を活用した
幅広い事業展開

ゼオンは化学メーカーです。ナフサに含まれるC4・C5留分から独自技術で抽出された原料を用い、ユニークな事業を展開しています。中でもC5留分の総合活用は、当社にとって大きな強みであり、高い競争力の源の1つになっています。

日本ゼオンについて

当社は1950年、古河電気工業株式会社、横浜ゴム株式会社、日本軽金属株式会社の3社の資本により設立され、米国・B.F.グッドリッチ・ケミカル社より技術提携を受けた塩化ビニル樹脂の製造を開始したのが始まりです。その後、現在の事業である合成ゴムや樹脂の原料となるブタジエン、イソプレンなどを抽出する独自技術を開発し、今日も様々な石油化学製品の製造・販売を行っています。

エラストマー素材事業(会社基盤を支える事業)

  • 合成ゴム
  • 合成ラテックス
  • 化成品(石油樹脂、熱可塑性ゴム)

高機能材料事業(新規展開を中心とする事業)

  • 化学品(合成香料、特殊化学品)
  • 情報材料(電子材料、重合法トナー)
  • 高機能樹脂(シクロオレフィンポリマー)
  • 高機能部材(プラスチックフィルム)
  • エネルギー関連材料(リチウムイオン電池バインダー)
  • 医療器材事業

その他事業

RIM事業、塗料事業、住宅資材など

連結売上高構成比※2020年度実績

日本ゼオンの根幹を成すC4・C5留分抽出技術

日本ゼオンの主幹事業は、ナフサ中のC4・C5 留分から独自の技術で抽出された様々な成分を原料として用いた製品群で構成されています。C4留分からは、ゼオン独自の技術であるGPB法を用いて高純度のブタジエンを抽出し、合成ゴムや合成ラテックスを製造しています。一方C5留分からは、GPI法を用いてイソプレン、ピペリレン、ジシクロペンタジエン、2-ブチン等を抽出し、合成ゴム、石油樹脂、シクロオレフィンポリマー、合成香料等を製造しています。

日本ゼオンは合成ゴムの製造を中心に発展してきた会社です。当初はC4留分を大元の原料とするブタジエン系の合成ゴムのみを製造してきましたが、合成ゴム事業の拡大の中で、天然ゴムと同じ化学組成を持つC5系の「イソプレンゴム」への進出をきっかけに、C5事業への道を歩み始めました。

但し、ブタジエンがC4留分の約40%を占めるのに比べ、イソプレンはC5留分中に10%程度しか含まれていません。C5留分のイソプレン以外の成分の有効活用ができなければ事業として採算が合わないため、C5各成分の用途開発を中心に研究開発を進めました。なお、C5の各成分を抽出するGPI法もゼオン独自の技術であり、「C5総合利用」と称する多彩な事業展開を支えています。

事業セグメント

GPB法

GPBプラント

日本ゼオンの自社技術によって開発されたGPB法は、ゼオン・プロセス・オブ・ブタジエンの意味で、エチレン生産の際に副生するC4留分から抽出蒸留によって高純度のブタジエンを製造する技術です。GPB法は、高品質のブタジエンを最も経済的に生産する技術として大河内記念生産特賞などの各賞を受賞し、世界19ヵ国47プラントに技術輸出されています。

プロセスについて

原料C4留分には約40%強のブタジエン、約50%強のブタン、ブテン類、数%のC4アセチレン類が含まれます。
C4留分は第1抽出蒸留塔の中段にガス状で供給され、溶剤DMFは頂部より供給されます。ブタン類、ブテン類は塔頂より副製品として取り出され、塔底液中のブタジエンは次の第1放散塔へ送られます。ブタジエンは溶剤DMFと分離され、塔底よりアセチレン類などが取り除かれます。溶解度の接近したメチルアセチレン、ブテン類は後続の精留部で除去され、高純度のブタジエンが得られます。

GPBフローシート

GPI法

GPIプラント

GPB法に続いて日本ゼオンの自社技術によって開発されたGPI法は、ゼオン・プロセス・オブ・イソプレンの意味で、ナフサを熱分解してエチレンを生産する時に副生されるC5留分から抽出蒸留によって高純度のイソプレン、ジシクロペンタジエン、ピペリレン、アミレンなどを経済的に製造する技術です。日本ゼオン水島工場のC5事業の展開は、大河内記念生産賞を受けたこのGPI法を根幹としています。

プロセスについて

原料C5留分には約15%のイソプレン、約20%のシクロペンタジエン類、約10%のピペリレン、その他にC5オレフィン、アセチレン類などが含まれています。C5留分は前処理塔を経て第1抽出蒸留塔の中段に供給され、溶剤DMFは頂部より供給されます。DMFに不溶な成分は塔頂より取り出され、可溶な成分は高沸点除去塔へ送られ、底部よりジシクロペンタジエン、ピペリレン、高沸点C5類が取り出されます。これ等の成分は次の工程でジシクロペンタジエン、ピペリレンなどに分けられます。
高沸点除去塔の塔頂から出た成分は第2抽出蒸留部でアセチレン類を除去したのち低沸点除去塔へ送られ、その底部よりイソプレン、塔頂部より低沸点C5留分が取り出されます。このような工程を経て得られた各成分を原料として、C5関連製品が水島工場内の各プラントで製造されます。

GPIフローシート

「留分」って何?

C4留分、C5 留分等に使われる用語「留分(りゅうぶん)」とはいったい何のことでしょうか。留分とは、混合液体を形成する各成分のことで、例えば原油を形成している留分には、ナフサやガソリン、ジェット燃料、灯油、軽油、重油等があります。それぞれの留分は原油を蒸留させた時の沸点の違いによって抽出することができ、ガソリンは沸点が約30~180℃、灯油は170~250℃、軽油は240~350℃で、これらを抽出した後に残ったものが重油やアスファルトになるのです。
C4留分、C5留分とは、ナフサを精製することで取り出せるさらに細かな留分のことで、それぞれが持つ炭素原子の数によって数字が付けられています。つまりC4留分は4個、C5留分は5個の炭素原子を有しています。このC4・C5留分から様々な原料を抽出できる技術力こそが、ゼオンの強みでもあります。

各事業について

エラストマー素材事業

エラストマー素材事業は、ゼオンの基盤を支える合成ゴム、合成ラテックス、化成品の3事業で構成され、世界中のあらゆる産業分野に不可欠な高品質素材を提供しています。
合成ゴムは、1959年に我が国で初めて合成ゴムを生産開始して以来、特殊合成ゴムを中心に、強固な事業基盤として今もなおゼオンを支えています。
合成ラテックスは手袋用途をはじめ、化粧用パフ、紙塗工、不織布等、生活に密着したあらゆる分野で活躍しています。
化成品はC5留分の総合活用により生まれた製品群で、粘接着剤向け原料となる石油樹脂や、熱可塑性エラストマーから成ります。新製品開発にも注力し、新規用途への展開も期待されています。

高機能材料事業

高機能材料事業は、高機能樹脂、化学品、電子材料、電池材料、医療器材で構成されています。
光学特性をはじめ、多くの優れた特性を持つことから、カメラレンズから医療用途まで使用される高機能樹脂、テレビやスマートフォンなどに使用される光学フィルムといった製品群は、高分子設計や加工の技術力によって高付加価値を有しています。
また、合成香料や工業薬品を展開する化学品、半導体向け材料の電子材料、プリンターに使用される重合法トナー、リチウムイオン電池材料、メディカルデバイスまで幅広く事業を展開しています。

その他の事業

C5留分により抽出されたジシクロペンタジエンを主原料にしたRIM事業や塗料事業、建材事業等、主にグループ企業で取扱を行っている事業群です。