ゼオンのサステナビリティ
基本的な考え方
『大地の永遠と人類の繁栄に貢献する』
大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々のくらし」に貢献する
■「持続可能な地球」と「安心で快適なくらし」に貢献する
■公正で誠実な活動を貫き、信頼される企業であり続ける
■より良い未来のために、一人ひとりが考え、行動する
ゼオンの考えるサステナビリティとは、企業理念「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」のもと、ゼオンが社会とともに持続的な成長を続けていくことです。そのために、地球や社会の課題解決に役立つ製品・サービスを提供し、いかなる時も誠実な企業活動を行うことでステークホルダーとの信頼関係を構築するとともに、一人ひとりが社会と自身のより良い未来を考え日々活動します。

イメージ図の説明
ゼオンでは、サステナビリティ基本方針の考え方をよりわかりやすく伝えるため、イメージ図を用いて説明しています。
図の内側に描かれた①②の矢印は、ゼオンが社会課題の解決を通じて新たな価値を社会に提供し、その結果として、社会からゼオンに対して価値提供の対価、つまり収益がもたらされるという流れを表しています。
さらに③④の矢印は、このような価値の好循環を持続的に実現していくことが、「社会の持続的な発展」と「ゼオンの持続的な成長」へとつながることを示しています。
図の中央に描かれた「握手」は、こうした好循環の継続によって、ゼオンと社会の間に築かれる信頼関係が、より強固なものになっていくことを表しています。
ゼオンのマテリアリティ
企業理念「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」の実現に向け、ゼオンが社会とともに持続的な成長を続けていくために、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、「ゼオンを動かす5つの歯車」を以下の通り特定しました。
ゼオンを動かす5つの歯車(マテリアリティ)
心からワクワクできる会社の実現

一人ひとりが持てる能力を発揮しワクワクしながら働ける場を作っていくことが会社として最も根本的な課題であり、これが当社の成長の要であるイノベーションにつながります。具体的な要素の例としては、「DI&B」「働きがい・エンゲージメントの向上」「業務の効率化・見直し」などが挙げられます。
イノベーションでほかにない価値を提供

イノベーションは当社が社会の期待に応えながら成長していくための最も重要なキーワードであり、5つの歯車の中央に位置づけています。他者・他社に真似のできない当社にしか生み出せない価値を世の中に提供していくことが、社会とゼオンの持続的な成長につながります。また「イノベーションを起こす仕組み・風土づくり」と「独創的な技術・製品・サービス」については、歯車全体を動かしていくうえでのカギとなると考えています。
強固なガバナンスの構築

サステナビリティ基本方針に掲げる「公正で誠実な活動を貫き、信頼される企業であり続ける」を実現するためには、会社としての基盤を強固なものにしていく必要があります。例えば「経営の透明性」「安定・安全な生産」「品質」「腐敗防止」などに加え、近年世の中で重要な課題と認識されてきている「情報セキュリティ」「持続可能な調達」「人権」などの要素も含まれます。
社会の変化に対応した事業構造の転換

イノベーションを起こすことで、社会の期待に応える製品・サービスを生み出し、そこに事業の軸足を移していくことで、事業構造の転換を図っていきます。サステナビリティの観点から「社会の情報化」「モビリティの進化」「健康と福祉」などの分野が社会的にニーズの高い領域であり、これらの領域を中心に積極的にイノベーションを起こしていくことで、社会の変化に対応した事業構造の転換を進めていきます。
循環型社会への貢献

「循環型社会」とは、例えばリサイクルや廃棄物の削減などにより、限りある資源を最大限に活用し、環境への影響を最小限にする社会をいいます。私たちの製品・サービスやその生産においてイノベーションを起こし事業構造を変えていくことで、循環型社会の実現に貢献し、さらにはその先にある企業理念の実現につながると考えます。
これら5つのマテリアリティ相互の連関を示し、ゼオンが将来に向けて進んでいく道筋を明らかにするため、マテリアリティを「ゼオンを動かす5つの歯車」として下図の通り整理しました。
「ゼオンを動かす5つの歯車」は、変化の激しい事業環境の中でも、私たちがぶれることなく企業理念の実現に向けて力を合わせていくための大切な“軸”となるものです。

<図の見方・考え方>
- 縦軸は、下に行くほど個人、すなわち「ミクロ」のレベルであり、上に行くにつれて社会全体、すなわち「マクロ」のレベルへと広がっていく構成になっています。
- 横軸は、左側がゼオングループにとっての「原動力」、右側が「なしとげたいこと」を示しており、左下の身近なレベルから出発して、右上に進むにつれてより広い視野、より長期的な課題へとつながっていく姿を表しています。
- 歯車はそれぞれが噛み合い、左下から右上へと力を伝えることで、ゼオングループのなしとげたい姿、すなわち企業理念の実現へと向かう推進力を表しています。
- それぞれの歯車を円滑に回転させるには「対話・コミュニケーション」が重要であり、これを潤滑油として表現しています。
- 5つの歯車を回していくことが、地球全体の大きな課題として背景に掲げた「カーボンニュートラルの実現」や、生物多様性の保全を含めた「自然と人間の共存」にもつながっていきます。
各マテリアリティの要素例
下の図は、「ゼオンを動かす5つの歯車」それぞれにおける具体的な要素例を示したものです。中でも「イノベーションでほかにない価値を提供」の歯車の要素にある「イノベーションを起こす仕組み・風土」と「独創的な技術・製品・サービス」は、5つの歯車全体を動かしていく上でのカギになる重要な要素であると考えており、図中では大きめの円で表現しています。

ゼオンを動かす5つの歯車(マテリアリティ)の位置づけ
サステナビリティ基本方針のもと、企業理念の実現に向けて取り組むべき重要課題が「ゼオンを動かす5つの歯車(マテリアリティ)」です。
中期経営計画:STAGE30では、「ゼオンを動かす5つの歯車」の考え方をベースに、各種KPIを設定し、活動を展開しています。

マテリアリティ特定のプロセス
2023年4月に社内横断的に「マテリアリティ特定プロジェクト」を設置し、多様な年齢、役職のメンバーで約8か月の期間をかけて検討を行い、同年12月の取締役会承認によりゼオングループのマテリアリティを特定しました。
マテリアリティ特定は以下のステップで進めました。
1.考え方と軸の検討
マテリアリティの検討を開始するにあたり、自社の財務に与える影響(フィナンシャル・マテリアリティ)と自社の対応が社会や環境に与える影響(サステナビリティ・マテリアリティ)の2軸で捉えるダブル・マテリアリティの考え方をベースにしました。
これら2軸に織り込む要素としては、一般的な要素を基本としつつ、当社が大切にする思いや価値観も加味して議論を進めました。具体的には、フィナンシャル・マテリアリティには「当社の独創性」や「社員のモチベーションの向上」「操業の安全・安定性」などを、また、サステナビリティ・マテリアリティには「社員の意欲」や「会社の沿革や歴史」、さらに「企業理念や事業に込められた思い」などを重視すべき要素として加えました。

2.マテリアリティ候補項目の抽出
各部門が中期経営計画第2フェーズ策定の際に重要であると認識した社会課題をベースとして、プロジェクトの議論の中でメンバーの意見として出た項目や今後国際的な議論の中で重要性が高まっていくと思われる項目を追加し、議論のたたき台となるマテリアリティ候補項目を抽出しました。
3.マテリアリティ候補項目の評価・分析
上記1.で検討した軸の考え方に基づき、まずはプロジェクトメンバー間で、2.で抽出されたマテリアリティ候補項目の重要度を議論し評価しました。次に、社会の期待や要請を反映するため、社外コンサルタントのアドバイスも得ながら国際NGOや格付機関等の注目度および今後の市場予測等のデータを用いてマテリアリティ候補項目の重要度を評価しました。そして、これら2段階の評価やその差異分析の結果をマテリアリティ特定に向けた議論に反映させました。
4.経営層へのヒアリング
ヒアリングを通じて経営層の考えるゼオンの強みや課題、今後のあり方に対する思いなどを把握して、議論に反映させました。
5.マテリアリティの精査・絞り込み、表現方法の検討
上記を踏まえ、ゼオングループと社会の未来に向けたストーリーを描けるよう、キーとなる要素が何かをさらに議論した上で、マテリアリティの相互の関係や時間軸等も意識して表現を工夫し、マテリアリティ案を策定しました。
6.取締役会での承認
策定したマテリアリティ案は、常務会の審議を経て2023年12月の取締役会に付議され、承認されました。
ステークホルダー・エンゲージメント
当社は、企業理念「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」の実現に向け、社会とともに持続的な成長を続けていくためには、ステークホルダーの皆様との信頼関係構築が重要であると考えています。
2030年のビジョンで示している「社会の期待」をSDGsと捉え、取引先(お客様・仕入先様)、株主(株主様・投資家様)、くらし(地域社会をはじめとする世の中の人々とそのくらし)、社員というステークホルダーの皆様と、持続可能性な地球や未来についての対話を重ね、相互理解をより深められるよう努めています。
ステークホルダー | ステークホルダーの皆様との関わり | 主なコミュニケーション手段 |
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お客様 | お客様の信頼に応える安全・安心で高品質な製品・サービスを提供するとともに、お客様とのコミュニケーションを通して、お客様の課題解決に資する製品・サービスの開発に取り組みます。また、グローバルな市場から求められる多様な要請や期待に応え、お客様と共にサステナブルな製品づくりに取り組んでいきます。 |
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仕入先様 | 「サステナブル調達基本方針」に基づき、責任ある調達活動を推進し、サプライチェーンを通じて持続可能な社会の実現を目指します。そのためには、仕入先様との強固なパートナーシップの構築が重要です。当社の持続可能な調達に対する考え方についてご理解いただけるように努めるとともに、調達アンケートや面談を通じて、各社の取り組み状況の確認や改善に向けた対話を行うことで、持続可能な調達の実現に取り組んでいます。 |
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株主様・投資家様 | 公正・公平で透明性の高い情報の適時適切な開示を行います。また、株主・投資家の皆様との対話により、経営方針や事業内容を深くご理解いただけるよう心掛けるとともに、いただいたご意見を真摯に受け止め、経営への反映や情報開示の改善に努め、企業価値の向上を目指します。 |
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地域社会の皆様 | 各事業所が地域社会の一員として、安定的な事業運営を実現することで、地域の発展に貢献します。 地域の皆様とのコミュニケ―ションを大切にし、信頼関係を構築することで、共に持続可能な地域社会づくりを目指します。 |
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社員 | 2030年のビジョン「社会の期待と社員の意欲に応える」の実現に向け、社員一人ひとりが多様な能力を発揮し、安心感を持っていきいきと働けるよう、人事制度改定や各種人事施策を展開しています。また、対話の機会を重視し、社員一人ひとりの意見に真摯に耳を傾けるよう努めています。 |
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サステナビリティマネジメント
サステナビリティ推進体制
当社では、サステナビリティに関する取り組みを全社的に推進するため、「サステナビリティ会議」を設置するとともに、リスク管理やコンプライアンスなどの施策を推進する機関として「CSR会議」を設置しています。両会議は、代表取締役を議長とし、常務会メンバーをはじめとする経営層で構成されます。
サステナビリティ会議では、気候変動への対応や人権課題などの重要事項について審議・決定を行い、議題の重要度から必要に応じて取締役会への報告を行います。
また、サステナビリティに関する諸課題に全社横断的に対応するため、サステナビリティ会議の傘下に「サステナビリティ委員会」を設置し、具体的な取り組みを推進しています。さらに、必要に応じてテーマごとに専門部会を設置し、個別課題への対応を図る体制を整えています。

CSR・サステナビリティの取り組みの歴史
1995年 | 日本レスポンシブル・ケア協議会に参加 |
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1996年 | 全社的な安全管理体制を見直し、「プラント技術監査制度」発足 |
1997年 | 「安全理念」制定 |
第1回「ゼオン安全月間」と「オールゼオン安全大会」実施(以降、毎年4月実施) | |
「ゼオン7条」制定 | |
1998年 | 「レスポンシブル・ケア行動指針」制定 |
1999年 | 「危機管理規程」制定 |
2000年 | 「レスポンシブル・ケア活動報告書」発行開始(1999年度版より) |
2001年 | 「環境理念」制定 |
2003年 | 「ゼオン7条行動指針」制定 |
2004年 | 内部通報制度導入 |
「コンプライアンステキスト」発行 | |
2005年 | 「レスポンシブル・ケア活動報告書」第三者検証実施 |
2006年 | 「レスポンシブル・ケア活動報告書」から「CSR報告書」に変更 |
2009年 | 「レスポンシブル・ケア世界憲章」への署名 |
2010年 | 「CSR基本方針」「CSR行動指針」制定 |
「CSRテキスト」発行 | |
2011年 | CSRマトリクス活動開始 |
2012年 | CSRコアプロジェクト(ZEON社会貢献総合パッケージ)開始 |
2013年 | 「CSR報告書」から「コーポレートレポート」に変更 |
2017年 | CSRマトリクスをISO26000ベースで見直し |
「コーポレートレポート」と並行してWebサイトにて「CSRレポート」をPDFで発行 | |
2018年 | 「CSR行動指針」の改定 |
2019年 | 国連グローバル・コンパクトに署名 |
「ゼオングループ人権方針」制定 | |
2020年 | TCFD賛同 |
2021年 | 「健康経営宣言」制定 |
2022年 | 「サステナビリティ基本方針」制定 |
「コーポレートレポート」を「統合報告書」に、 「CSRレポート」を「サステナビリティレポート」に変更 |
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「サステナビリティ会議」「サステナビリティ委員会」を新設 | |
2023年 | ゼオンを動かす5つの歯車(マテリアリティ)を特定 |
2024年 | SBTイニシアチブ認定を取得 |
SDGs貢献製品認定制度の運用開始 |