株主の皆様へ

2030年を見据えた中期経営計画のもと、社会課題の解決に寄与する製品・サービスの創出を通じて持続可能な社会の実現を追求してまいります。 代表取締役社長 田中公章
2030年を見据えた中期経営計画のもと、社会課題の解決に寄与する製品・サービスの創出を通じて持続可能な社会の実現を追求してまいります。 代表取締役社長 田中公章

株主の皆様には、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。

2023年3月期の連結経営成績について

20233月期の経営環境は、インフレの進行や金融不安による世界経済の減速に加え、米中関係の緊迫化やウクライナ紛争の長期化など、先行き不透明な状況で推移しました。こうしたなか、ゼオングループは2030年のビジョン「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を見据えた中期経営計画のもとでの諸課題に取り組むとともに、エラストマー素材事業においては採算性の重視とグローバル展開の強化、高機能材料事業においては付加価値の高い新製品の開発と事業の拡大に注力しました。

当期の連結売上高は、主にエラストマー素材における販売価格改定の進捗、為替円安の影響を要因に前期比7%超の増収となり、過去最高を更新しました。一方で利益面では、光学フィルムや電池材料の出荷量減、原料価格・エネルギー価格の高騰、棚卸資産関連費用の増加などが影響し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前期を下回りました。今後の市場環境の回復に乗った販売拡大や収益性の改善により一層取り組み、挽回をはかっていきたいと考えています。

期末配当金は1株当たり18円とさせていただきました。中間配当金を含めた年間配当金金額は1株当たり36円(前期比8円増)となり、13年連続の増配となります。今後も安定的・継続的な配当を基本としつつ、併せて配当性向30%以上の維持を目指し、株主のみなさまへの還元の充実に努めてまいります。

中期経営計画第2フェーズの位置づけと狙い

2021年度と2022年度の2年間の中期経営計画では、「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する『ものづくり』への転換を推進する」「『既存事業の磨き上げ』と『新規事業の探索』の両立によって社会課題解決に貢献する」「個々の強みを発揮できる『舞台』を全員で創る」の3つの全社戦略の下、2030年ビジョン実現に向けた基盤づくりを進めました。

今般、中期経営計画を2021年度から2030年度までの10年間の経営計画とあらためて定義し、社員の投票で『STAGE30』と名付けました。2023年度から2026年度はその第2フェーズと位置づけ、基盤づくりが進んだ前述の全社戦略に「経営基盤を『磨き上げる』」を加えた計画としてスタートします。なお、外部環境の変化が著しいことに鑑み、2年ごとに計画をローリングする想定です。

この第2フェーズでは、『STAGE30』最終年度業績目標(既存事業ROIC9%、新規事業売上高+600億円(2019年度比))を見据え、2026年度連結売上高5,100億円、連結営業利益580億円、既存事業ROIC9%、新規事業売上高+160億円を業績目標として設定しました。この他、全社戦略ごとの2026年度目標値も明確に掲げ、2030年ビジョン実現に向けた歩みを着実に進めてまいります。

(2023年6月)
代表取締役会長 田中 公章
代表取締役社長 豊嶋 哲也