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2014年度からスタートした新中期経営計画SZ-20 PhaseⅡと今後の見通しについて、代表取締役社長 田中公章がQ&A形式でご説明します。

Q1 直近の経済環境とゼオングループの状況をお教えいただけますか?

A1 合成ゴムの市場価格は、天然ゴム価格やブタジエン価格の低迷の影響で下落しており、合成ゴムメーカーとしては厳しい状況が続いています。米国では、シェールガス革命によりエタンを原料とするエチレン生産の優位性が高まるなど大きな変化が起こりつつありますが、合成ゴムの主な原料であるブタジエンは、やはり石油に依存せざるを得ません。2013年度は為替が円安に推移したので良い結果をもたらしていますが、国産ナフサ価格は上昇したまま高止まりしており、また国内でのナフサクラッカーの減産によって国内での生産活動には逆風が吹いています。
 世界的に長い目でみれば、人口が増加し、新興国での経済発展に支えられて世界経済は拡大することが見込まれますが、エラストマー事業では、安価な原料の調達やグローバル事業展開などにおいて、これまで以上に難しい判断が必要になるのではないかと思われます。
 一方、こういった環境下で、高機能材料事業については、市場からのニーズが高まっている重点3事業分野(情報用部材、エナジー用部材、メディカルデバイス)に特化して経済変動に強い高付加価値製品を創出していく必要があります。このため、製品開発、上市のスピードを今まで以上に速め、研究開発もこれらの分野に力を入れて重点的に行っています。
エラストマー事業と高機能材料事業を車の両輪にして、一刻も早くありたい姿を実現させていきたいと考えています。

Q2 新中期経営計画「SZ-20 PhaseⅡ」のポイントはどこでしょうか?

A2 新しい中期経営計画のポイントは2点、まず一つ目は会社を大きく“変える”ということです。具体的には、2020年のありたい姿を達成するために何が必要かをゼロベースで考え、事業構造改革など「改革・改善の推進」をすることであり、また、既存のシステム等々「仕組みを変える」ということ、さらには、仕事への考え方、仕事そのものを変える「風土を育成」することであり、不都合な点があればどんどん変えていきます。
 もう一つは、計画を進めていく中で現状把握をしっかりと行い、環境変化に合わせて計画の見直しと修正をその都度行っていくということです。各部門での計画の進捗状況を、常に経営トップと現場が「対話」を重ね、現状把握を綿密に行った上で、ダイナミックに戦略を変更し新しい戦略を作り上げていく、創発戦略を実施します。そのプロセスにおける当社独自のノウハウを、PhaseⅡを通して確立していきたいと考えています。

Q3 事業戦略の柱の一つである「エラストマー素材事業」の状況はいかがでしょうか?

A3 エラストマー素材事業はゼオンの連結売上高の6割を占める基盤事業です。その中でも合成ゴムの用途として大きいのは自動車関連です。これまで自動車産業は成熟産業であるといわれてきましたが、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車など新しい動力源による自動車の多様化や、新興国の経済拡大によって今や、成熟どころか成長産業といえるくらいダイナミックな変化を示しています。
 1980年代以降、世界戦略を展開してきた特殊ゴムは、付加価値が高く利益率も高い製品で、具体的には、NBR(ニトリルゴム)や、NBRに水素を添加したZetpol®、また、トウペの買収により世界シェアを約30%に高めたアクリルゴムなどがあります。これからも差別化できている部分はさらに強く、ゼオンでなければできないような技術を投入して参入障壁をさらに高くし、事業を拡大していきたいと考えています。
 また、2013年9月に、低燃費タイヤの材料であるS-SBR(溶液重合法スチレンブタジエンゴム)の生産拠点として、シンガポールのプラントが稼働開始しましたが、事業をさらに強化していくため、特殊ゴムと同様に品質的な付加価値を高めていくとともに、原料供給面での最適化というメリットを最大限に生かしていきます。

Q4 もう一つの柱である「高機能材料事業」の状況はいかがでしょうか?

A4 高機能材料事業は連結売上高比率では2割程度と、まだまだこれからです。現在は、光学フィルムが独自性と性能の面で幅広く高評価をいただいています。具体的には、大型液晶テレビや中小型のスマートフォンやタブレットに使われるフィルムですが、これらの業界の動きは非常に速く、品質面、供給面での要求も厳しいため、研究開発の速度を速めながら事業をさらに大きくしていきます。
 電子・実装用部材については、研究開発を粘り強く続けており、この3カ年に何らかの成果を上げたいと考えています。
 エナジー用部材は、安全性や容量の向上という点で、お客様から高い評価をいただいております。リチウムイオン電池が自動車用に採用が進めば、今後かなり大きな需要が見込めます。
 メディカル分野はこれらの業界とは異なるカルチャーですが、着実な事業拡大を図っていきます。そのために、ゼオン独自の製品開発、製造技術をさらに深めていきたいと考えています。

Q5 研究開発の戦略と単層カーボンナノチューブについてはいかがでしょうか?

A5 「ひとのまねをしない、ひとのまねのできない革新的独創的技術」を生み出し続けるために、研究開発費は安定的に120億円規模を維持しています。よりスピード感をもって事業化に取り組んでいくために、経営トップ自らがこれまで以上に高い頻度で研究所と情報交換をして、常に研究員と直接対話をすることで、技術の芽を正確につかみ、より適切な判断の下に研究開発を進めていきます。
 単層カーボンナノチューブ(CNT)については、これまでNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして産総研(独立行政法人産業技術総合研究所)と共同で続けてきた研究開発が一定の成果を上げました。CNTはかつて非常に高価で、めったにテストもできなかったのですが、生産コストをかつての1千分の1程度に抑える量産技術ができたことにより、ようやく色々な材料に混ぜてテストができる環境になりました。例えばゴムにCNTを数ppm混ぜるだけで熱伝導性や電気伝導性が上がったり、まったく新しい素材になったりします。2015年には当社徳山工場に世界初の商業規模の生産設備を立ち上げる予定ですが、これにより工業材料としての利用が可能になります。材料革命といってもいいような可能性を多く秘めており、担当者たちとワクワクしながら研究開発をしています。

Q6 グローバル化とそれを支える人材育成についてはどのように考えていますか?

A6 今、特にグローバル化を進めているのが、海外での大きな市場拡大が見込まれるエラストマー素材事業です。今回、シンガポールの新工場立ち上げに際しては、現地採用の従業員を徳山工場に呼び寄せて一定期間の教育を受けさせるとともに、実際の現場にも入ってもらって、最先端の生産技術を学んでもらいました。そして今度は、リーダーとなった彼らがシンガポール工場のマニュアルを作成し「見える化」することで、次世代につながるノウハウを蓄積させています。今後、さらなるグローバル化に伴う技術継承をスムーズに進めるために、日本の工場と密接に連携した教育が非常に重要と考えています。
 また、従業員全体の資質向上のための取り組みとして期待しているのが「たいまつ活動」です。これは、「今のままでは2020年のありたい姿を達成できない」という危機感から、従業員の自発性向上に着目した活動です。2012年度から始めましたが、他の従業員たちとの対話を通じて得られた「気づき」を自分自身の仕事に反映させるなど、従業員に自身のレベルアップのために何をすべきかということを考えてもらっています。日本だけでなく、海外での展開も図って、私が各地の工場・事業所をまわる時にはたいまつ活動の話をしています。

Q7 社会貢献活動の展開状況と考え方についてお聞かせください。

A7 私たちは本業で社会に貢献するのはもちろんのこと、本業以外の部分でも地域社会に貢献していかなければなりません。シンガポールの新工場は現地採用の従業員が9割を占めるなど、雇用を通じて地域コミュニティの発展に寄与しています。タイやベトナムでは奨学金制度を運営しており、学生たちがより高い教育を受けられるよう、支援しています。日本では各工場においてイベントや清掃活動など地域社会と密接な交流を行う一方、東日本大震災の復興支援についても各種活動を継続しています。英国や米国でも地域社会との交流はさまざまな形で自主的に行われています。こうした活動を通じて地域社会の一員になることが、安定・安全な操業にも生かされ、持続可能な事業活動につながっていると考えています。

 CSR経営、コンプライアンス経営とは社会の期待に応えることでありますが、社会の期待に応えることとは、やはり本業において付加価値をさらに追求し向上させて、当社でなければできない技術を確立し、製品化することによって、社会のお役に立つことだと考えています。また、その結果として社会になくてはならない企業になりたい。そして、そのことが2020年のありたい姿にもつながると信じています。

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