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株式会社環境管理会計研究所 上席研究員
博士(工学、経営学)/ 技術士
岡田 斎(おかだ ひとし)
1979年大阪大学大学院工学研究科溶接工学専攻修了。2006年9月神戸大学大学院経営学研究科現代経営学専攻(社会人専門職大学院)修了。2010年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程学位取得修了。大阪市立大学非常勤講師、経済産業省委託「サプライチェーン省資源化連携促進事業」診断事業評価委員会委員、企業不祥事、CSR、コンプライアンス、ビジネス倫理、再生マネジメントなどの研究を行ないながら、CSR経営、マテリアルフローコスト会計の導入などを支援している。


「日本ゼオン株式会社CSR報告書2011」を読んで

■ CSR重視の経営の実現に向けた基盤整備
社長は、CSRを重視した経営を打ち出されています。社長のこの想いを受けて日本ゼオンは、CSRの推進に注力されてきました。私は2008年度以降の活動についてコメントさせていただいていますが、この間にCSR基本方針とCSR行動指針の制定、CSR会議の設置など、社長のリーダーシップが目に見える形でCSRを重視する経営を推進する仕組みづくりに注力されてきました。その一方で、CSR基本方針の唱和、CSR説明会の開催、各事業所におけるCSR教育など、CSRの地道な教育普及活動も重視され、これらを継続して実践されています。このような活動の結果、2010年度は、日本ゼオンのCSR重 視の経営を推進する基盤が整ったといえます。
 
■ ISO26000とCSR重視の経営のパフォーマンス評価
グローバルに事業を展開されている日本ゼオンにとって、ISO26000への対応も重要です。ISO26000をベースに社内の活動を見直され、CSR重視の経営のパフォーマンス向上とその成果を開示することが望まれます。日本ゼオンでは、CSRマトリクスなどのCSR推進ツールを活用した活動や、全員参加のCSRコアプロジェクトに取組まれる計画です。これらの活動は評価できるものですが、その前提としてKPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)を用いたCSRのマネジメントへの取り組みが望まれます。日本ゼオンが社会から期待されていることをステイクホルダーとの対話を通じて明確にしてCSRとしての意義を明示され、その実現を目指す取り組み目標を具体的に指標化すると共に、PDCAのマネジメントサイクルを活用して実現することです。これらは、次項のステイクホルダーとのコミュニケーションとともにISO26000が重視していることです。社長の想いであるCSRを重視した経営の具現化に向けた精力的な取り組みが期待され ます。
 
■ ステイクホルダーとの双方向コミュニケーション
日本ゼオンでは、2009年度の従業員とのステイクホルダーダイアログに続き、2010年度では有識者によるステイクホルダーダイアログが行なわれました。この特別企画は、たいへん読み応えがあります。また、日本ゼオンのCSRに向けた重要なメッセージの発信でもありますので、従業員への周知が期待されます。今後も、より広範囲なステイクホルダーと の双方向コミュニケーションに継続的に取り組まれることを期待します。
 
■ 地球環境保全への貢献
日本ゼオンは、2020年のありたい姿を『−化学の力で未来を今日にするZEON−わたしたちゼオンは、お客様の夢と快適な社会の実現に貢献し続けます。』と描いています。そして、「人のマネをしない、人がマネできない独創的な技術」により、地球環境保全に貢献する多数の製品を送り出しています。その多くが、一般消費者が直接目にすることができないものですが、本業を通じたCSRとして、環境への貢献はたいへん大きく、高く評価できるものです。また、日本ゼオンにおける地球温暖化ガスの削減や廃棄物削減への取り組みについても、一部未達の項目もありましたが概ね目標を達成されています。このような日本ゼオンの地球環境保全への貢献は、高く評価できます。

日本ゼオンのCSR重視の経営の発展と、その大きな成果を期待します。
 

第三者意見をいただいて

CSR 担当取締役執行役員
武上 博
 
IZ-60の最終年度である2010 年度は、4月にCSR基本方針・CSR行動指針を制定し、2011年1月より、CSR会議を頂点とする新たなCSR推進体制を構築するなど、ゼオンのCSRの仕組みの整備の年となりました。

この3年間、環境管理会計研究所の岡田斎上席研究員から継続してコメントをいただいておりますが、今年度はIZ-60の3ヶ年におけるゼオンのCSR活動の進展を概観した上で、今後の取組みとして、KPIを用いたCSR活動への取組みの必要性と2009年度より開始したステークホルダーダイアローグ(ステークホルダーとの対話)を通じた双方向の対話の継続的実施の重要性について、指摘いただいたところです。

これらについては、いずれも2010年11月に発行した組織の社会的責任の国際標準であるISO26000においても、その実施が推奨されているところであり、CSR基本政策委員会及び本社・事業所・グループ企業に新たに設置されたCSR推進委員会の積極的な活動により、CSRマトリクス(分野別ステークホルダー別CSR活動展開表)などを通じ、CSR活動の「見える化」に取り組み、CSR活動のレベルアップを図ることにより、更なる社会への貢献に努力してまいりたいと考えております。
 


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